この世の縮図

 叔父が小田原にいる。

相模湾が近い。

叔父は釣りをする。

30年ぶりに釣りに行きたくなった。

連れて行ってくれないかとお願い。

連れて行ってくれることになった。

早朝5:00に出発。
6:00過ぎに船に乗って出発だ。

2時間しか眠れなかったが、
初の海釣りに興奮状態。

船に乗って最初の釣り場に到着。
船がゆっくり大きく揺れ、
早速の船酔い。
気分が悪い。。

なんとか立ち上がって

釣り糸を海に投げる。

船頭の言う通りに

釣り糸を数m単位で巻き、
魚を待つ。

きた!
案外すぐにきた。

釣れたのは、

ソウダガツオというカツオだ。
初めてみるカツオ。
小さいカツオ。
喜んでいると叔父が、
その魚は美味しくないから、
なるべく掛からないように
釣り糸をある程度巻いたら
一旦引き上げて、
改めて釣り直した方がいいと言われ、
その忠告を忠実に守ったつもりだったが、
ソウダガツオが掛かる掛かる。
まるで尻軽のように。
2匹だけ試しに持ち帰ることにして、
それ以外は全部離した。

その離した魚を、

カモメが持って行って食べた。
そして楽をしたい、
怠け者のカモメが群がって、
人間が離す魚を期待して、
じーっとこちらの様子を、
絶妙な距離感で観察している。

カモメよ、少しはマジメに働けよ。
毎日こんなことしてるんじゃないよな。

と、カモメに問いかけるが、
カモメはお構いなしだ。
カモメに誘われ、トンビまで飛んできて
人が捨てた魚をパクついてる。

おいおい、

おまえまでカモメに成り下がるなよ。
おまえ、トンビだろ。誇りをもてよ。

と、トンビに語りかけようとするが、
完全に無視された。

ふと辺りを見渡すと

海の真ん中に来ていた。
海しか見えない。
その海の上に
鳥がいて、魚がいて、自分がいた。
生かされてると感じた。
トンビとカモメに、残すなよと、
釣った魚を2匹投げた。

しかしトンビとカモメはキャッチできず、
魚は海の中に消えて行った。
残念そうなトンビとカモメ。

太陽はさんさんと、

いつもと変わらず登ってる。

この世の縮図を海に見た。

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